アナログ、CD(wav,mp3)、PC(wav,mp3)で音質に差が出るのか試してきました。

ども、GUNHEADです。

SOUND SLUGGERなどでお世話になっているeast audioのtocciさんからサウンドシステムの測定会をやるというお話を伺ったので無理言って同行させてもらいました。
音で勝負しているシステムの秘密が明らかになるわけなので通常、こういったことは内々で行うことでしょうが、これまで実際に謎であった部分や実際に測定し結果を共有することで国内のダンスミュージックが発展すればというtocciさんのスタンスにまずは感謝です。

測定会をやることになった経緯をまず説明します。
先日TABLOIDで開催されたイベントでeast audio sound systemのフロアがあったのですが、 そちらに今回測定をしていただいた(株)東京音響通信研究所(ビートルズ来日時に初めて日本でPAをされた岡本広基さんが設立した日本のPA会社のパイオニアで、以前はシステムの開発もしていた会社です)の巨匠:菊地徹さんやエンジニアの方々がいらしており、実際に鳴っているところを体感されて、簡単に言うと「どうしてこのシステムでこういう鳴りがするのか?」という疑問とカスタムスピーカーの世界に興味があるということで、今回の測定会に至ったようです。

ですので、east audio sound systemというカスタムスピーカーのシステム自体を測定・解析すること が目的です。

が、DJ・トラックメーカーとして、昨今得に多様化してきたDJ時のデバイス、ファイル形式(アナログレコード、CD、PC、WAV、mp3)によって差が出るのかどうかというのをちゃんと知っておきたいという個人的な興味があったので「手伝いますよ~!」という体で、隙あらば僕も音研で測定してもらおうという下心のもと、各音源を忍ばせて参加させてもらいました。
ですので、システムの測定のついでに、しかもゲリラ的に測定してもらったので詳細な比較検証・解析とまではいっていないということを念頭において貰いたいです。
とはいえ、日本最高峰のPA、エンジニアといった専門家の方々立会いのもと、SIM SYSTEMという普段僕らが扱うことができないような測定システムを使用(もちろん、自分が扱えるものではないのでプロのSIMエンジニアの方によるオペレート)し、専門家の方々にも聴いていただいたので信憑性は高いのかなと思います。
あと、細かく検証となるとアナログの場合は針をいくつか試して、12inchと7inchとか海外プレスとか国内プレスとかアームがどうでとか、CDの場合だと製品版とかCD-Rとか、PCだとスクラッチライブのバージョンがいくつかとかインターフェースがどうでとかラインがどうでUSBケーブルがなんちゃらで、元データのサンプリング周波数があれでとか…と細かく比較検証しないとちゃんとした結果が出ないこともわかっておりますが、今回のデバイス・ファイル形式比較は上記のようなスタンスでやらせてもらったので細かいことは責めないで~!!

というわけでこんな感じでeast audioのサウンドシステムを倉庫から運搬するところからスタート。




運搬しやすいようにボックスにはキャスターがついていたりします。普段はサウンドクルーが運搬するんですが今回は音研のスタッフさんがいらしてくれて超楽ちんでした。

今回お世話になった(株)東京音響通信研究所(通称:音研)





音研さんの倉庫内はこんな感じ。当然ながらスピーカーだらけで圧巻。

今回もバッチリ力仕事をやる気満々で作業用手袋とか持っていったけど、そこはさすがプロの仕事で、僕が出る幕が無いほどに(というか、僕が手伝ったら足手まといになったはず。笑)スピーディーにシステムが組み上げられました。手前に写りこんでいるのがeast audio sound systemのオーナーtocciさん。(アンプ等のセッティング中)
ちなみに、積み木みたいな感じで積み方は色々とできるのですが前回のTABLOIDでのイベントのときと同じ積み方で。





左のツイーター・ホーンボックスがないのは運搬中?前回のイベント中?に故障したらしく写真には写りこんでないところでボックスを開けて修理してたため。
測定には問題ないということで測定用のマイクもこの位置です。







これが、今回の測定で使用したSIM SYSTEMです。
SIM SYSTEM 「ミキシングコンソールの出力と各測定点マイクからの出力の差を瞬間瞬間で演算し、これらを時間軸とともにアベレージングしていく FFT(高速フーリエ変換)相関測定ですので、刻々と変化していく音場における1/24oct周波数特性/位相特性、スピーカーからリスニングポイントまでのインパルス時間特性を的確に把握できるとともに、各時間帯、各測定点での膨大なデータをメモリー、呼び出し、比較検討することが可能」(音研ホームページより抜粋)




上の波形が周波数で左の方しか動いてないのでLOWボックスのチェックをしてるときです。
下の波形は位相をチェックする波形だそうです。まずは全ボックスの位相を合わせるところからスタートすることでちゃんとした計測ができるそうです。この時点でなかなかクラブではできない経験ですね。
ちなみに、ここまで位相が合っているのは脅威というかものすごい偶然というかとにかく巨匠:菊池さんも驚かれていました。(ウーファーのバックロードの長さとなんちゃらがなんちゃらと言っていましたが僕はわけワカメです…)しかも低音以外の部分でこんなにフラットになるとも思っていなかったと仰っていました。


位相のずれを修正するためにツイーター・ホーンボックスを数ミリ前後させるの図。シビアな仕事すぎて僕はもう蚊帳の外状態。笑
写真手前の黒の上下の方が菊地徹さん。
菊池さんは海外から名指しでオファーが来てワールドツアーに同行するようなエンジニアの方です。





倉庫内の一角で計測したので、雰囲気はこんな感じです。




再生に使用した機材はこんな感じです。


エンジニアの方々も興味深々。


みんな真剣。




こんな感じでシステム自体の計測、検証、調整が進み、ちょっと落ち着いた隙を狙ってデバイス・ファイル形式の比較をやらせてもらいました。
とりあえず、下にずらずらずら~っと波形を並べます。
2曲を使って測定してもらいましたが、同じ曲の同じポイントではないので若干のずれはあると思います。ただ、ピークが検出されているのでメーターの上にある細かい点々が参考になるのかな。
ちなみに黄緑のメーターがマイクから拾った音、つまり実際に鳴っている音なのでサウンドシステムの特性がでます。水色のメーターがラインでSIM SYSTEMに入って計測された音です。(黄緑が入っていなかったり、比較しやすい画像でなくてすみません。責めないで~!!)




楽曲1:wav


楽曲1:mp3 320kbps





エンジニアさんの「こっちのほうが見やすいよ~」というご意見によりこちらを撮影。
楽曲1:CD(WAV)
ツイーター調整前かな?(時間軸があれですみません。責めないで~!!)

楽曲1:CD(MP3:320kbps)

楽曲1:serato scratch live(WAV)

楽曲1:serato scratch live(MP3:320kbps)




楽曲2:CD(WAV)




楽曲2:CD(MP3:320kbps)


楽曲2:serato scratch live(WAV)




楽曲2:serato scratch live(MP3:320kbps)




楽曲2:アナログレコード(7inch、海外プレス)


撮影角度とかタイミングとかばらばらでさーせん!

専門家の方々もおっしゃっていましたが、データ上、ハイエンドはアナログが完全なる勝利です。
データは上のものを見て比較していただくとして(めんどくさがりですみません。というか専門家ではないのと、冒頭に書いた今回の測定会における音源比較はあくまで個人的なゲリラ企画で専門家に検証していただくものではなかったので。でも、写真撮ってきただけグッジョブ!ということにしてください。だから責めないで~!)、重要なのは聴感上どういった変化が出るのかというところですよね?
音楽は波形を見て楽しむ方より聴いて楽しむ方が多いでしょうから。(中には波形萌え~な方もいらっしゃると思いますが。)

結論から言いますと、アナログレコード、CD(WAV)、CD(mp3)、scratch live(WAV)、scratch live(mp3)の差は聴き取れました。

その場に居合わせた方々の意見を以下にまとめます。

■アナログレコード
音像がはっきりしつつも突き刺すような高音は無く、長時間聴いていても疲れないだろうなぁというバランスに優れた印象。
針の性質もありますが、ハイエンドが一番出てるのにそういった印象になるのは謎な部分があり、エンジニアの方に聞いたら聴感上感じ取れない音域でもその成分があることで違う音域に作用することは有るということでした。SHURE WHITE LABELという針を使ったのですが、針を変えたらまた違ってくるんでしょうね。

■CD(WAV)
こちらも音像ははっきりしつつも、高・中音域がアナログのそれに比べると強い。低音の変化はほとんど無いように感じました。
今回使用したDJミキサーDJM-500の3バンドEQのHIをアナログが12時に対して11時くらいまで下げ、MIDをアナログの12時に対して11時半くらいまで下げるとアナログに近いバランスになる。(この調整は巨匠:菊池さんがやってくださいました)

■CD(mp3)
こちらも音像ははっきりしつつも、高・中音域がアナログ、CD(WAV)のそれに比べると強い。
今回使用したDJミキサーDJM-500の3バンドEQのHIをアナログが12時に対して10時半くらいまで下げ、MIDをアナログの12時に対して11時くらいまで下げるとアナログに近いバランスになる。
低音はアナログ、CD(WAV)に比べて若干強調される感じがあった。(sp1200やMPCを通すと音が太くなるっていう通説と同じ現象?)
低音が出ない環境での再生だとその太さが出ない可能性がある。

■scratch live(WAV)
音源自体の印象はCD(WAV)とほぼ同じ印象だが、音量が低い。
ミキサーのゲインをアナログ、CDが10時くらいに対して12時まで持ち上げると同じボリュームに。

■scratch live(mp3)
音源自体の印象はCD(mp3)とほぼ同じ印象だが、音量が低い。
ミキサーのゲインをアナログ、CDが10時くらいに対して12時まで持ち上げると同じボリュームに。

※追記
巨匠:菊池さん曰く「ちゃんとした設備のところならDJミキサーのEQで調整可能」ということを仰っておられ、そのついでにEQをいじってくださったわけです。

■まとめ■

今回の結果は、クラブにあるシステムよりも圧倒的に低音の再生に優れ、尚且つ専門家による調整を行ったうえでの再生なので、PAさんがいなかったりあまり対応してくれないようなクラブとかで再生したら変化に気付かない部分があると思いますし、また違う変化があると思います。
正直、今回の結果も音質が良い悪いというよりも人によっては好き嫌いという範疇に収まるものだと思います。
ただ、やはり環境や人によっては差がわかるので、DJ、パフォーマーとしてどう対応していくかという所が重要だよなっていうことがtocciさんと僕の結論です。

あたりまえのことですが、自身がかける音楽の特性をちゃんと把握し、プレイの目的をしっかりと持つ(言葉で盛り上げる、メロディで聴かせる、ベースで踊らせる、ビートで踊らせる…。)ことをこれまで以上に意識する。
その上で、自身のプレイスタイルを加味しデバイスを選択。例えば、アナログが手に入るジャンルでMIX重視のスタイルならばアナログでプレイするのがベスト。データでのリリースが圧倒的に多いジャンルで尚且つクイックにMIXしスクラッチなんかもも織り交ぜてプレイするDJはscratch liveやtraktor scratchのようなデバイスがベストでしょうし、データでのリリースが圧倒的に多いジャンルでMIX重視でいくDJはPCよりもCDJを選択するのがベストでしょう。
人前に立つ以上、品質向上は意識しなくてはならないと思います。(「同じ値段なら近所のスーパーで仕入れをする寿司屋よりも築地で品定めして仕入れをする寿司屋のほうがいいですよね?」というのはtocciさんの例え。)
僕が感じ取った音質の差はこれくらいです。
ただ、そこで注意したいのはなるべくプレイ中に各デバイスを複数使用しないようにすることでアウトプットを安定させるということ。

以前は選択肢がアナログレコードしかなかったのでそれがベーシックでしたが、今の環境(音源購入環境、音質、利便性)を踏まえてベーシックとなりうるのはPCで楽曲管理をしてCDJ-2000でCD(WAV)をプレイすることなのかなぁというところに意見が着地。

そして最も重要に なるのは、再生・アウトプットの環境が違いすぎるのでDJ、パフォーマー自身がその都度システムの特性を把握し、オープン前に音を出してその環境においてベストな状態を作り上げる判断力だと思いました。(当然といえば当然なんですけど。経験値豊富なDJは他のDJのプレイを聴いて調整することは可能なのかな)
始めて間もない人にありがちなヘッドフォンを両耳にかけヘッドフォン内だけでミックスするのもタブーです。(音の時間差がすごい大きい会場などは別として)
お客さんが聴いてるのはスピーカーの音ですから!(以前、そういうDJがアシパンでDJしているとき、お客さんの了承のもと両耳MIX中にそ~っと卓のマスターボリュームをゼロにしたらやはりフロアに音が出ていないことに全く気付かないということがありました。笑 しかもフロアを見ていないという…。 笑い話ですけど、状況によっては事故ですからねぇ…)

話がそれてしまいましたが、
2011年、DJのあり方、手法も多様化し、データ販売が主流(とくにダンスミュージックでは)になった現在、デバイスの是非を問うのはナンセンスだと思ってます。新しい技術が生まれ、そこから新しい手法が生まれることで進化していくのがダンスミュージックですし、DJ、パフォーマー自身も下を見るのではなく意識を高く持って変化しなければいけないと思った経験でした。
少しでも皆さまの参考になれば嬉しいです。こういった経験は共有していきたいですね!

改めてtocciさん音研さんには感謝です!

では!


※追記
で、何でこういう興味を持って行動したかというと、現場の体験に勝るものは無いということをお伝えしたかったからです。ネットや家で見聴きするそれとは比較にならないですから。だから、少しでも興味を持って下さった方は遊びに出かけましょう! !そして自分の耳、身体で体感してみてください! !データはあくまでデータです。とか言ったりして。笑

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